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日本の公的年金制度は「国民皆年金」。老後には、すべての人が老齢基礎年金を、厚生年金に加入していた人はそれに加えて老齢厚生年金を受け取ることができます。では、私達の老後の年金は一体誰が支払ってくれるのでしょうか?日本の公的年金制度は、自分で納めた保険料が戻ってくる仕組みではなく、現役世代が受給世代を支える制度(賦課方式)となっています。しかしながら、少子高齢化に伴い、現役世代は少なく、受給世代は多くなっていきますから、将来の現役世代の負担が大きくなりすぎないような仕組みが求められます。そこで活躍しているのが「年金基金」です。

  • 年金基金とは?GPIFとは?
  • GPIFと世界の年金基金
  • 投資家としてのGPIF
  • GPIFの運用の最新動向
  • 年金基金とは?GPIFとは?

    年金基金について説明する前に、そもそも「基金」とは何かを理解しておきましょう。基金とは、「ある目的のために積み立てるなどして準備しておく資金」をいいます。目的としては例えば、学術や慈善事業等の公益増進、地方自治体の特定の事業等、企業の経営資金の補てんなどが挙げられます。
    年金基金もこうした基金の一種です。例えば、国民年金や厚生年金の制度などにより現役世代が納めた年金保険料のうち、年金の支払いなどに充てられなかったお金は、将来世代のために積み立てられています。

    出典:GPIFウェブサイト

    もちろんお金はただ集められただけだと、目的達成のために自ら動いてくれるわけではありませんから、実際には集まった資金を管理する主体が必要です。この管理主体そのものを「年金基金」と呼ぶこともあります。例えば、日本の公的年金の積立金の管理を行うのは、「年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund)」(以下、GPIF(ジーピフ、ジーピーアイエフ))です。GPIFの役割は、年金積立金の管理及び運用を行うことにあります。お金がなくならないように貯めて管理することだけではなく、「運用する」というのがポイントです。つまり、私達の年金積立金の一部は投資に回っているのです。年金基金は投資家である、という言い方もでき、実際に、主要な機関投資家の一つとしてよく挙げられます。

    GPIFと世界の年金基金

    日本以外の国でも、年金制度を採用している国には年金基金が存在します。例えば米国、英国、ドイツ、フランス、スウェーデンなどです。では、世界で最大の年金基金はどこの国にあるでしょうか?人口の多い米国でしょうか?実は、日本のGPIFこそが、世界最大の年金基金なのです。GPIFは実に197兆円 ものお金を運用しており、「世界最大の機関投資家」とも呼ばれています。ランキングをご覧いただくと、その大きさを実感できるのではないでしょうか。

    *2022年3月31日時点

    世界の年金基金ランキング(2021年12月末)

    順位年金基金の名称所在国(百万米ドル) 1,731 Government Pension Fund ノルウェー 1,437 National Pension Federal Retirement Thrift California Public Employees Canada Pension カナダ *1 National Social Security 中国 *2 Central Provident Fund シンガポール

    *1 2022年3月31日時点

    *2 推計値

    ※出典:Thinking Ahead Instituteらの調査をもとにアセットマネジメントOne作成

    投資家としてのGPIF

    年金基金の運用は、その金額の大きさゆえに、市場に与える影響は非常に大きなものとなります。2022年10月、イギリスの年金基金が高格付の社債を売却したことがニュースになると、社債を売る動きは様々な投資家に広く波及しました。GPIFも豊富な資金力を背景に市場に大きな波を起こすことから「クジラ」と呼ばれることもあります。

    では、世界最大の年金基金であるGPIFは、一体どのような運用を行っているのでしょうか。GPIFは年金積立金を厚生労働省から預かって運用しているため、その運用についても法律で定められています。具体的には、「被保険者の利益のために、 長期的な観点から、安全かつ効率的に行う」という法律上の定めがあり、大きなリスクを取った運用はしないということが分かります。また、厚生労働省はGPIFの中期目標を「長期的に年金積立金の実質的な運用利回り(年金積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)1.7%を最低限のリスクで確保すること」としており、具体的な数値まで定めています。

    「安全が前提とはいえ、なぜ国民の大切な年金積立金を元本割れリスクがある投資に回すのか?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。その背景には、数百兆円という莫大なお金を預かり、これを長期にわたって適切に管理していかなければならないといった事情があるでしょう。ずっと預金に閉じ込めておくにはあまりに大きな金額であり、少しでも増やせれば国民全体が恩恵を受けられます。一方で、GPIFが見据える100年先まで考えると、インフレなどの影響による現金の価値の目減りは大きなものとなる可能性があります。このように、安全性を意識しながら着実に資金を増やしていくことが求められているからこそ、「実質利回り年率1.7%」を確保するという手堅い運用を、数十年という非常に長い時間軸で行っているのです。

    実際に、GPIFはその資産構成の基本を国内外の株と債券に25%ずつとする分散投資を行っています。「年金財政上必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選定した結果」、このような資産配分になったとGPIFは説明しています。

    GPIFの基本ポートフォリオと実績

    出典:GPIFウェブサイト

    では、GPIFの実際の運用実績はどうでしょうか?2000年からの21年間での実質的な運用利回りは「年率3.78%」を確保しており、運用目標である年率1.7%を上回っています。年金財政の安定に貢献しているといえるでしょう。

    なお、GPIFが運用している年金積立金が年金財源に占める割合は1割程度。その年の保険料収入と国庫負担で9割程度をまかなっており、積立金の運用に伴う短期的な市場変動は年金給付に影響を与えないということも確認しておきたいポイントです。

    GPIFの運用の最新動向

    「ESG投資」という言葉を聞いたことがありますか?ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字を並べ作られた造語です。企業業績だけでなく環境や社会問題、企業統治にどれだけ取り組んでいるかを評価し投資することを ESG投資といいます。GPIFは、このESG投資を推進することを宣言しています。そして2017年度から「ESG指数」に基づいた株式投資を行っています。
    その背景として、GPIFのウェブサイトではこのように説明されています。

    GPIFのように投資額が大きく、資本市場全体に幅広く分散して運用する
    投資家は「ユニバーサル・オーナー」と呼ばれます。
    また、GPIFが運用する年金積立金は、将来の現役世代の保険料の
    負担が大きくなりすぎないように使われるものです。

    このように「ユニバーサル・オーナー」かつ
    「世代をまたぐ投資家」という特性を持つGPIFが、
    長期にわたって安定した収益を獲得するためには、
    投資先の個々の企業の価値が持続的に高まり、ひいては資本市場全体が
    持続的・安定的に成長することが重要です。

    GPIFは長期的な投資収益を確保するため、
    ESG投資を推進しています。

    出典: GPIFウェブサイト

    GPIFは、資本市場全体の持続的・安定的な成長を促し、長期的な投資収益を確保するためには、キャッシュフローや利益率といった財務情報だけでなく、環境、社会、企業ガバナンスといった非財務情報も企業価値の物差しとして捉えることが重要と考えていることが分かります。

    世界最大の年金基金であるGPIF。経済メディアで「クジラ」の名前を見かけたら、ぜひ私たちの年金積立金について思い出してみてください。そして、ご自身の資産形成を考えるにあたっては、GPIFの「長期・分散」といった投資の基本姿勢や、投資対象企業に持続的成長を促し投資収益を確保するための「ESG投資」を参考にしてみるのも良いのではないでしょうか。

    ■賢い年金の受け取り方とは?

    FPシリーズ(2):老齢年金の繰上げ・繰下げ、後悔しないための考え方は?

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